【池袋暴走事故 被告人質問詳報】(2)「エンジンが高速回転」「ブレーキいっぱい踏んだ」
 《飯塚被告は、時折言い間違いこそあるが、口ごもることなくはっきりとした声で質問に答えていく》

 弁護人「最後に免許を更新したのは」

 飯塚被告「2017年の5月です」

 弁護人「その時には75歳以上だった」

 飯塚被告「はい、そうです」

 弁護人「更新の検査や講習は受けたのか」

 飯塚被告「認知症の検査のようなものを受けました。結果は全く正常で合格しました。講習では、高齢者の運転時の注意のビデオを見ました」

 弁護人「講習はビデオだけか」

 飯塚被告「運転の実技がありました。当時は実技は希望者だけだったと思います」

 弁護人「運転に心配があったのか」

 飯塚被告「特になかったです。教官からの指摘もありませんでした」

 《質問は、事故当日の状況に踏み込んでいく。弁護人は、この先の証言について、事故車両のドライブレコーダーの映像ではなく、飯塚被告の記憶に基づくものであることを強調。被害者参加制度を使って出廷している遺族の松永拓也さん(34)は、飯塚被告の方にときおり視線を送りながら、ペンを走らせ続けている》

 弁護人「同乗者はいたか」

 飯塚被告「おりました。妻です」

 弁護人「2人でどこへ行こうとしていた」

 飯塚被告「昼食の予約をしたレストランへ行こうとしました」

 弁護人「なぜ車だったのか」

 飯塚被告「電車とバスで行けるのですが、乗り換えに時間がかかるので、車で行きました」

 弁護人「予約の時間は」

 飯塚被告「12時30分です。自宅を出発したのは12時過ぎでした」

 弁護人「間に合う時間なのか」

 飯塚被告「急がないで十分に間に合う時間でした。急ぐ用事は全くありませんでした」

 《飯塚被告は、車を運転する前のルーティーンとして、いつも自分の足でブレーキが作動するか安全確認しており、「事故当日もチェックして異常はなかった」と話した。弁護人は、事故現場となった東池袋交差点付近での運転内容について、詳細に確認していく》

 飯塚被告「(左カーブを曲がる際に)ブレーキを断続的に踏んだと思います。(車の速度は)40〜50キロあったと思う。思ったより速いスピードで曲がってしまった」

 《弁護人は、事故現場の見取り図を取り出して法廷内のモニターに映し出し、どのように走行したか、飯塚被告にルートを赤線でひかせた。飯塚被告が「もう一度お願いします」と、質問を聞き直す場面もあった》

 弁護人「左カーブを曲がった後、車に何か起きたか」

 飯塚被告「エンジンが異常に高速回転しました。左に寄りすぎて、ガードパイプと思われるものに接触しました」

 

 飯塚被告「ずっとブレーキペダルを踏んでいたと思います」=(3)に続く
https://news.yahoo.co.jp/articles/b71fa1794596fc1f77bb263e957f03fe0d444a24