>>393
次の朝6時、ピナン島の對岸にあるプライ驛につきました。
連絡船はすでに棧橋に横づけとなってゐて、
ピナン島のジョージ・タウンの埠頭へわづか25分しかかかりませんでした。

簡単な朝食をとり、果物の女王といはれるマンゴスチンなどをいただきました。
僕たちが自動車に乗りこみますと、番頭さんはマライ人運轉手のわきへ乗り、出發しました。

「この島ではイギリス兵が、ほとんど戰はずに逃げたものですから、このやうに戰爭の跡は見られないのです。」

との番頭さんのことばに、あちらこちらを見廻しましたが、どこを見ても平和そのもの、
ここが半年前に、戰爭のあった島だとは思はれませんでした。