>>359
「伯父さま、ブラニ島やブランカンマチの要塞も見られませうか。」

「いや、ここはちょっと見學は出來ないね。
これはこの地圖で見てもわかるやうに、港の前面にある自然の要塞で、37センチの大砲が備へつけられ、
發電所・工作室・貯藏室までもあって、海面は、200メートルの通路を殘して、
あとはすっかり無數の機雷が敷設され、海の正面から攻撃されても絕對に陥落しないといはれてゐたのですよ。
しかしわが軍は、そんな正面からは向かはないで、義經のひよどり越の坂おとしのやうに、
裏口のジョホールから突入したので、わが軍を防ぐための機雷原がかへって自分たちが逃げ出すときに
大へんなじゃまになって逃げ足がおくれてしまひ、わが荒鷲にさんざん爆撃されて、
鱶(ふか)の餌食になったものが大そう多かったさうですよ。」

「痛快だわね。」