<社説>ミャンマー国軍弾圧 「保護する責任」果たせ

ミャンマー国軍によるクーデターから2カ月余。軍の暴力を抑止する手だてを地域機構や大国が取れない中、500人を超える市民が犠牲になっている。軍隊が非武装の市民を「虐殺」する行為は断じて許されない。

 ミャンマー国軍や治安当局から銃口を向けられている市民は、国際社会に「保護する責任」(R2P)を訴えている。国軍に市民の殺戮(さつりく)の即刻中止を求める。そして国際社会は今こそ「保護する責任」を果たすべきだ。

国連安全保障理事会は1日、平和的なデモ参加者への暴力や多数の市民の犠牲を「強く非難する」との談話を発表し、国軍に対しては「最大限の自制」を要求するにとどまっている。
生ぬるい対応と言わざるを得ない。

 国連は2005年、内戦や虐殺のエスカレートで主権国家が自国民を保護できない場合、国際社会が武力を含む人道的介入で「保護する責任がある」と明文化したはずだ。

 特に隣国である中国、インドの両大国は、自らの権益を優先する立場を露骨に示している。

軍政が民主化を容認したのは、国際社会で孤立し、欧米による経済制裁によって経済が低迷したからだ。
ミャンマーの歴史を振り返れば、国際社会が一致して圧力を強めることの意義が分かる。
中国やインドが自国の権益を優先する態度は「人道に対する罪」を容認することにつながる。

 特に日本はミャンマーに対する最大の経済援助国であり、影響力を発揮する時だ。
しかし、制裁に依然慎重で米国や欧州連合(EU)とは一線を画している。政府開発援助(ODA)を巡り、実施中の事業の継続の是非を検討する段階にとどまっている。
 日本には、国軍に影響力がある中国やインドに働き掛けて最悪な事態を終わらせる外交力が問われている。

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