重力波望遠鏡「KAGRA」
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重力波が出来る仕組み
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中性子星が衝突して重力波が発生する瞬間
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天文学の歴史を塗り替える期待がかかる
「大型低温重力波望遠鏡KAGRA(かぐら)」は、
2020年2月に観測を開始しました。
岐阜県飛騨市の旧神岡鉱山の地下300mに作られた、
長さ3qのアームトンネル2本が交差したL字型の施設です。

重力波とは、非常に重い天体が加速度運動する際に生じる時空の歪みが、
光速で四方八方へ広がる波のこと。
「時空のさざ波」とも呼ばれ、宇宙を観測する手段としては、
電磁波(光や電波など)とニュートリノに次ぐ新たな方法です。
1916年に一般相対性理論で重力波の存在を予測した
アインシュタイン自身、検出は難しいと考えていました。

初めて観測されたのは、100年後の2015年。
アメリカの重力波検出器LIGO(ライゴ)によってでした。
わずか0・2秒間、10のマイナス21乗mほどの重力波を分析した結果、
地球から13億光年離れたところで、太陽の36倍と29倍の質量をもつ
ブラックホールが合体して発生した重力波であることが判明したのです。

LIGOによる重力波初観測は、
2017年のノーベル物理学賞を受賞しています。

重力波はどんな物質も通過する性質をもつので、地下でも支障はありません。

KAGRAは東大の宇宙線研究所を中心に、
国立天文台、高エネルギー加速器研究機構などが協力するプロジェクトです。
建設には約170億円かかりました。
LIGOはこの何倍もかかっていますし、
新東名高速道路が1q当たり200億円と聞きますから、激安です。

宇宙誕生から37万年後までの宇宙は超高温で光が直進できなかったので、
光学や電波の望遠鏡ではインフレーションやビッグバンを観測できません。
宇宙誕生の謎を解明するには重力波が重要なのです。
重力波の観測で、従来の宇宙論が刷新される可能性があります。
宇宙はいまも膨張を続けていますが、
そのスピードも測定できるかもしれません。
重力波天文学は、まだ始まったばかりなのです。

週刊文春
https://news.yahoo.co.jp/articles/e00cd025f78ee4a48e310a43557545a6ca09dee6