運河庁からの賠償請求、法的上限 30億円強か。船主、P&I保険でカバー

船主に対して賠償請求された場合、船主が契約するP&I保険(船主責任保険)でカバーされる見込みだ。
さらに船主が負う賠償額は国際条約LLMCによって上限が規定されている。
LLMCは、世界経済を支える海運の持続可能性の確保を主眼に、海難事故の広範囲に及ぶ巨額の賠償リスクから船主を一定範囲で保護するため、責任限度額を定めている。
エジプトの裁判所が船主のLLMCに基づく責任制限の申し立てを阻却する可能性は低いとみられるが、その場合はLLMCのリミットが外れ、賠償額が大きくなり得る。こうしたLLMCが適用されないケースでも、P&I保険が賠償をカバーする。
日本海事新聞 2021/4/1
https://www.jmd.co.jp/article.php?no=266244

International Maritime Organization
https://www.law360.com/agencies/international-maritime-organization

Convention on Limitation of Liability for Maritime Claims,1976:76 LLMC
https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201456/volume-1456-I-24635-English.pdf

海洋専門家で法律事務所WeightmansのパートナーであるMikeBurns氏は、混乱に直面している船舶の所有者が正栄汽船またはその保険会社に対して請求することは難しいと述べた。
「これらの他の船舶は[EverGiven]と契約を結んでいないため、所有者は請求を作成するための別の法的根拠を検討する必要があります」と彼は言います。
「通常、船舶が行き詰まり、他の船舶が待たなければならない場合、それは海上貿易のリスクの一部にすぎません。船舶同士の衝突がある場合を除いて、他の船舶はお互いに注意義務を負いません。」
船舶の保険会社は、国際条約を通じてその責任を制限することができます。
条約はエジプトを含む54の政府によって署名されており、船舶のトン数に基づいた最大のスライディングスケールを使用し、主要な請求に対して支払う必要のある金額を海洋保険会社に制限しています。
それは、数億ドルの潜在的な請求が数千万ドルに減らされることを意味するだろう、とBurns氏は言う。
https://www.weightmans.com/media-centre/news/media-moment-suez-canal-ship-blockage-could-trigger-wave-of-claims/