職場に、家庭に、まん延する「ルッキズム(外見至上主義)」
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東京五輪・パラリンピックの開閉会式の演出で女性タレントの容姿を侮辱するような案が浮上したことが批判されたが、「見た目で評価されて嫌だった」との声は少なくない。外見至上主義は「ルッキズム」とも呼ばれる。身近にある不快な体験とはどんなものなのか・・・。

 広島市安佐南区の女性(39)が1月、飲食店のアルバイトを辞めさせられたのは、天然パーマが理由だった。「清潔感がない。きちんと髪をセットして」と上司から注意された。これ以上のセットとなると高額な縮毛矯正が必要になる。「仕事ぶりじゃなく髪質で判断されるのは理不尽」と今も納得いかない。

 以前勤めたファストフード店では、男性店長が「9号の制服が入らない女性はカウンターに立てない」と決め、この女性は調理場に配属された。「接客を担当する人は細身がいい」という押し付けに傷ついた。

 ルッキズムは、容姿、外見という意味の英語「look」と「主義」を意味する「ism」を合わせた単語。女性は今回の五輪演出問題について「外見で人生が左右されることもあるのに、ネタにする感覚が理解できない」と憤る。

 同区の別の会社員女性(37)は演出案を「ルッキズムが社会にまん延し、感覚がまひしている証拠」と言う。前の会社では同僚男性たちが新人の女性を「顔が何点、スタイル何点」などと採点していた。取引先の男性も好みの部下を「かわいいでしょ」と紹介する一方で、他の部下のことを「彼女、仕事はできるけど顔がイマイチでさー」と陰口を言っていた。

 思えば就活中にも「顔採用」が暗黙の了解だった企業があった。個人的な美醜の感覚は誰にもあり、美しいものを求める気持ちは分かる。でも「容姿によって機会や可能性の不均衡が生じるのは問題ではないでしょうか」と問い掛ける。

 東区の会社員男性(41)も「女は顔、男は身長」という風潮があると感じる。学生時代から人気なのは、かわいい女子と背が高い男子。女友達が「彼イケメンだけど背が低いのが残念よね」と言うたび違和感を覚えると打ち明ける。