配車サービス大手の米ウーバー・テクノロジーズは16日、英国の運転手ら約7万人について、最低賃金や有給休暇が取得できる「労働者」として扱うと発表した。
ネットで仕事を請け負う「ギグ・エコノミー」の働き手に対する責任を見直した形で、日本など世界での対応にも注目が集まる。

米証券取引委員会(SEC)の開示資料などによると、ウーバーは英国内の運転手について、「個人事業主」としていた立場を転換。
雇用契約がないまま労働者の一部権利を得られる英国特有の仕組みを17日から適用した。
運転手に最低賃金を保障し、収入の約12%を支払う有給休暇を付与する。一部の人は年金制度にも自動的に加える。
勤務時間や場所は、これまで通り運転手に裁量を残す。ただ、待ち時間を勤務時間に含めるかが、新たに議論を呼ぶ可能性がある。

ウーバーの北東欧地域担当幹部のジェイミー・ヘイウッド氏は同日、「英国のウーバー運転手にとって大事な日。ウーバーは大きな個人ハイヤー産業の一翼を担うに過ぎず、他の運営会社も彼らの仕事の質が向上するために我々に続くことを願う」などとした。

英最高裁が2月、「運転手はウーバーに従う立場に置かれている」などとして「労働者」の権利を認める判決を出していた。
同社はここ数週間で数千人の運転手と話し、働き方の柔軟さを損なわずに改善を求める声を吸い上げたという。

ウーバーをめぐっては、飲食宅配代行サービス「ウーバーイーツ」を展開する日本を含め、各国で働き手の待遇改善を求める動きがある。
英国の対応を受けてウーバージャパンの広報担当者は「各国・地域で異なる法令を順守し事業を進めており、英国では英国の判決に従っている。それを他の国・地域にも適用するかというと違う。日本ではあくまで日本の法令に準拠して事業を運営していく」と話した。

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