<独自>同性との不倫も「不貞行為」 妻の相手に賠償命令

 妻と不倫した女性に夫が損害賠償を請求できるかどうかが争われた訴訟で、
東京地裁(内藤寿彦裁判官)が先月、同性同士の性的行為も「不貞行為に
当たる」として女性に賠償を命じる判決を言い渡したことが16日、分かった。
これまでは、婚姻関係にある男女の一方が同性と不倫をしても、法律上の不貞
行為には該当しないとの見解が法律家の間で有力だった。原告代理人によると、
同性同士の不倫を不貞行為と認めた司法判断は珍しい。

 令和元年に原告の30代男性が、妻と性的な行為に及んだ女性を提訴。
女性側は、不貞行為は「異性との行為を意味する」などとして同性同士の
行為は対象にならないと反論していた。
 今年2月16日の判決は、不貞行為は男女間の行為だけでなく、「婚姻
生活の平和を害するような性的行為」も対象になると指摘。「同性同士の
行為の結果、既存の夫婦生活が離婚の危機にさらされたり形骸化したりする
事態も想定される」として、妻と女性の行為を不貞行為と認定した。
 男性は妻が同性愛に関心があることを理解し、女性と親しく付き合うこと
自体は受け入れていたという。ただ判決は「性的行為までは許容していなか
った」と認め、不貞行為の慰謝料などを支払うよう女性に命じた。男性側は
賠償額が不十分だとして控訴した。(略)

 高裁レベルでは昨年、同性の事実婚カップルを法的に保護すべきだとする
判断が示された。女性同士のカップルが一方の不貞行為で破局したことの
損害賠償を求めた訴訟で、1審宇都宮地裁真岡支部は令和元年9月、「同性
カップルも一定の法的保護を与える必要性は高い」と指摘。男性(後に女性
に性別変更)と不貞行為をした女性に対し、110万円を支払うよう命じた。
2審東京高裁判決も昨年3月、同性カップルを「婚姻に準ずる関係にあった」
とし、1審判決を支持した。
 法律家の間では長らく、婚姻関係にある男女の一方が同性と不倫をしても
不貞行為に当たらないとの見方が有力だった。男性と性的関係があった夫との
離婚訴訟で、夫と男性の関係について、民法770条で定める5項目の離婚
事由のうち、不貞行為ではなく「その他の婚姻を継続しがたい重大な事由」と
位置付ける名古屋地裁判決があったことなどが影響している。(略)
https://www.sankei.com/affairs/news/210316/afr2103160010-n1.html