【北京時事】中国共産党は創立100年となる7月を控え、習近平総書記(国家主席)が先頭に立ち党の
歴史を学習する運動を開始した。習氏は「正しい党史観」の確立を指示。旧ソ連の崩壊を教訓に党批判を
排除し、自らの長期政権を確実に実現する意図があるとみられる。

 中国共産党は20日、習氏ら最高指導部メンバーや全国の党組織幹部らが参加して「党史学習教育動員大会」を
テレビ会議で開催した。席上、習氏は党創立100年に合わせて党史を学習する重要性を強調。
バイデン政権発足後も米中対立が続く可能性を想定しているもようで、習氏は党の経験を学び
「外部環境の変化へ長期的に対応する準備」を行うように訴えた。

 党史学習の表向きの目的は「共産党による統治の正しさ」を改めて全党員に徹底することだ。軍を動員して
民主化を求める学生らを弾圧した1989年の天安門事件をはじめとする「負の歴史」に光を当てる機運はない。

 習氏は演説で「(一部の事例を基に党の業績を全否定する)歴史虚無主義に明確に反対せよ」と指示した。
さらに、党史学習の機関を各地方組織に設置することや若い世代を重視して党史に関する映画やテレビドラマの
制作などを求めた。

 習氏が「正しい党史観」にこだわる背景には、「歴史的指導者の否定がソ連崩壊につながった」という認識がある。
2月に出版された党史に関する習氏の演説集によると、習氏は2013年1月に「(ロシア革命を率いた)レーニンや
(独裁を行った)スターリンを否定し、党組織がほとんど機能しなくなり、ソ連は瓦解(がかい)した」と語った。

 習氏に批判的な北京の知識人は「習氏は党史学習を通じて、建国の父である毛沢東が行った権力集中や
個人崇拝を正当化しようとしている」と指摘する。習氏は2期目の任期が切れる22年の党大会後も最高指導者の
地位を手放さない意向とみられており、党史学習の最大の狙いは「長期体制確立の環境整備」(知識人)と言えそうだ。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021022700449&;g=int