地図大手ゼンリンは、数分から数か月後といった将来の人の流れを予測し、地図上に表示する技術を事業化する。
2021年度から鉄道やバスなどの交通事業者への提供を始める。混雑を予測して人混みを避ける移動ルートの提案もでき、新型コロナウイルス対策としても活用が期待される。

「人が動く未来地図」として、次世代都市「スマートシティー」の基盤技術化を視野に入れる。スマートフォンのアプリに組み込み、個人向けサービスとして提供する構想もある。

 同社は19年、全国の道路や鉄道のほか、駅や空港といった交通機関の拠点内の通路を網羅した地図データベースを構築した。
この詳細な地図情報や携帯電話の全地球測位システム(GPS)のデータを組み合わせ、人の動きをAI(人工知能)が分析。天候やイベント情報なども反映させ、数分後や数か月先に人の動きや流れがどう変化するか予測して地図上で表す仕組みだ。

 商店街の人通りや車の渋滞といった屋外だけでなく、電車内や駅構内などの人の流れも可視化できる。未来地図によって最適な移動ルートの提案が行え、新型コロナ対策として「密」を避ける移動も手助けする。

 次世代移動サービス「MaaS(マース)」を手がける交通事業者が未来地図を利用する場合、地域の事情に合わせて地図を作り替えて乗客らに提供することも認める方向だ。
アプリに組み込んで個人向けに提供する際は、それぞれの移動データや購買履歴を蓄積する。近くに興味を持ちそうな観光地や飲食店があれば「寄り道」を提案するサービスも検討されている。

 未来地図はスマートシティーに欠かせない技術としても期待される。ゼンリンは昨年3月、スマートシティー分野などでNTTと資本提携しており、両社は未来地図を活用した協業も視野に入れている模様だ。

 ◆スマートシティー=ITを活用し、サービスの充実やエネルギーの効率化を実現する都市モデル。家や会社、自動車などの生活基盤と、電力・ガスや公共交通機関、学校などの社会基盤を通信でつなぎ、消費や移動などあらゆる情報を収集・分析する。

https://news.yahoo.co.jp/articles/b35aa5f889445b37d22da558f469bda0547bf54e