車とぶつかりそうになり転倒、女子高生重傷…「ごめん」と2千円渡し立ち去った男を書類送検

 高知市内で昨年10月、車を運転中に自転車の高校1年の女子生徒(16)とぶつかりそうになり、転倒させ、重傷を負わせながら立ち去ったとして、高知県警は20日、同市内の非正規地方公務員の男(71)を自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致傷)と道路交通法違反(ひき逃げ)の疑いで書類送検した。

 こうしたケースは「非接触事故」と呼ばれる。警察庁は非接触事故のひき逃げ事件の統計をとっていないが、運転と事故との因果関係を立証するのは難しく、摘発するのは異例という。

 捜査関係者によると、男は昨年10月14日午前7時40分頃、同市内の県道交差点を車で左折した際、左前の歩道から自転車で走ってきた女子生徒の進路を塞いで転倒させ、顔の骨を折る重傷を負わせたまま、立ち去った疑い。

 男は、顔から血を流してうずくまる女子生徒に「ごめん」と声を掛け、ハンカチと千円札2枚を手渡したものの、警察や消防に通報せずにその場を去っていた。

 ひき逃げ事件として県警が捜査していることを読売新聞などが報じたところ、昨年12月6日、「新聞記事を見た」と男が高知南署に自首。安全確認をせずに事故を誘発したことなどを認めたため、県警が書類送検に踏み切った。調べに対し、男は「けがをしているのは分かったが、仕事に遅刻したくなかった」と容疑を認めているという。

 女子生徒は全治6か月以上で、通学を再開した今も頭痛や吐き気がするため医師に運動を止められている。母親(44)は「ぶつかったかどうかが事故の基準ではないことを、多くのドライバーに知ってほしい」と訴えた。

 交通事故の被害者を専門に弁護するたくみ法律事務所(福岡市)の宮田卓弥弁護士は「車の自動ブレーキがさらに普及し、歩行者や自転車との接触を防げるようになると、かえって非接触のトラブルは増えるだろう」と話している。

2021年1月21日 7時30分
https://news.livedoor.com/article/detail/19566945/