リコーやキヤノン、米ゼロックスなど複合機大手5社が1〜9月、海外を中心に従業員を約1万6千人削減したことが分かった。ペーパーレス化が進む中、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が広がり、販売や保守サービスが低迷した。好調な家庭用プリンターに注力するが、複合機の収益悪化を補えない。新型コロナで市場縮小は加速しており、一層の構造改革を迫られる可能性がある。

削減数は5社の全従業員の4%、事務機器事業の約7%にあたる。東京商工リサーチの調査では、10月29日までに国内の上場企業で希望退職を募ったのはアパレルや外食業界が多かった。同調査は国内が対象のため単純には比較できないが、製造業の中では複合機メーカーの人員削減の比率は高いとみられる。

具体的には、リコーは海外で販売や保守の人員について早期退職を募ったほか、中国で7月に新工場を稼働させて生産拠点を集約し、約6400人を減らした。キヤノンも欧米で複合機やカメラの販売担当者を解雇。保守サービスなどを手がける傘下の会社を整理・統合して約4100人を減らした。

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コニカミノルタも約2700人を減らし、ゼロックス(約1500人)、富士フイルムホールディングス(HD、約900人)も人員削減に踏み切った。

複合機事業はもともと欧米を中心にペーパーレス化が進み、単価下落で収益が悪化。保守を遠隔監視にして効率化してきたこともあり、従業員数は減少傾向にあった。そこに新型コロナの感染拡大が直撃した。

オフィス閉鎖で商談が滞り、米調査会社IDCによると20年1〜9月のA3複合機の販売台数は246万台と前年同期比22%減った。印刷量が減り、消耗品や保守サービスの需要も落ち込んだ。

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