米、中国団体の綿製品を輸入禁止 ウイグル族の強制労働で

【ワシントン=鳳山太成】トランプ米政権は2日、中国・新疆ウイグル自治区の団体が関わった衣料品など綿製品の輸入を禁じると発表した。少数民族のウイグル族を強制労働させて生産していると判断した。政権交代が迫るなか、人権問題を巡って中国への圧力を一段と強めた。

国土安全保障省傘下の米税関・国境取締局(CBP)は「新疆生産建設兵団(XPCC)」が生産した綿製品の輸入を禁じる命令を出した。全米の港で同団体からの輸入品を留め置く。強制労働に関わった合理的な情報があるとして、米国内法に基づいて制裁を科す。

同省のクッチネリ副長官代行は声明で「中国共産党政府の人権侵害を許さない」と表明した。

トランプ政権は9月にも、新疆ウイグル自治区の特定企業から綿製品や電子製品などの輸入を禁じる措置を5件発動している。今回、中国の綿花の主要生産者であるXPCCを標的にすることで、圧力を強めた。同団体には米財務省が金融制裁も科している。

これまでの措置は特定企業の製品にとどまるが、対象が今後広がる可能性もある。米議会で審議されている「ウイグル強制労働防止法案」は、新疆ウイグル自治区で生産された製品の輸入を包括的に禁じる。法案は下院で可決済みで、月内にも成立する可能性がある。

大統領選で当選を確実にした民主党のバイデン前副大統領も、人権問題で中国に是正を求める構えだ。ウイグル族問題を巡る米中対立は一段と激しくなりそうだ。

新疆ウイグル自治区は衣料品や電子製品、食料品などの一大生産地だ。

米議会が3月まとめた報告書は、強制労働で生産された製品を調達している疑いがある企業としてナイキやアディダスなどグローバル企業を挙げた。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66979020T01C20A2910M00