「ひきこもり死」を防げるか――高齢親失った中高年「8050問題」最終章

56歳男性のひきこもり死
2年前の冬のことだった。取材班は、あるひきこもり男性の死に直面した。

神奈川県横須賀市に暮らす56歳の男性は、10年前に両親が死亡した後、自宅に一人取り残され、
貯蓄を切り崩しながら暮らしていた。ガスや水道は止まり、家屋の外壁は朝顔のつるで覆い隠され、
庭先はゴミであふれていた。市の福祉職員は支援の必要性を感じ、訪問を続けていた。56歳男性はこう話していたという。

「いざという時にお金がないと困るので、なるべく使わないようにしている」


福祉職員の訪問に応じる56歳の男性(提供:NHKスペシャル)

男性は、腕の骨やあばら骨が浮き出るほど痩せ細っていた。「病院に行かないと。あなたの命が危険です」と
説得にあたる職員に対し、男性はていねいな口調で「自分の力で何とかしたい」と繰り返し、支援を断り続ける。

やがて男性は、職員が訪問しても顔を出さなくなった。職員が警察と一緒に踏みこんだところ、
男性はゴミに埋もれた状況で亡くなっていた。栄養失調による衰弱死。1月初旬、冷えこみの厳しい日のことだった――。

https://news.yahoo.co.jp/feature/1846