平凡な文学青年だったが、頑張れば、ちゃんと医者になれた──「ヒドイ巨塔」で

<コロナ禍で今、医療関係者への注目が高まっているが、そもそも医者になるとは、どういうことなのか。小児外科医として医師の道を歩み、ノンフィクション作家としても活躍する松永正訓氏が、初のエッセイを書き下ろした>

入学志願者数は2018年をピークに減少傾向に入ったとされるが、それでも依然として高い人気を誇るのが大学の医学部である。

新型コロナウイルスがもたらした不況で、就職に強い医学部を目指す子供が増えるのか、あるいは、院内感染のリスクや経営悪化を理由に敬遠する傾向が強まるのか。2020年はコロナ禍が向かい風となったようだが、今後数年の状況はまだ分からない。

ただ、人類の苦境にあって人命救助にあたる医療関係者の姿に憧れを持った子供も多いという。

小児外科医として医師の道を歩み、現在は小児科・小児外科クリニックを開業している松永正訓氏は、小学館ノンフィクション大賞受賞作家として『運命の子――トリソミー短命という定めの男の子を授かった家族の物語』(小学館)、『発達障害に生まれて――自閉症児と母の17年』(中央公論新社)など多数の著作がある。

医者になって、34年。自分は取り立てて優秀だったわけではない。平凡な文学青年だった。それでも、頑張れば、ちゃんと医者になれた。

いま改めて、「医者という仕事は悪くない」との思いを強くしているという松永氏が、初のエッセイを書き下ろした。未来の医療を担ってくれるかもしれない若い人たちや、その保護者に、自身の経験をシェアし、参考にしてもらえたら――。

『どんじり医』(CCCメディアハウス)は、笑いあり、涙あり。一人の医師の青春譚だ。その一部を2回にわたって抜粋する。

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https://www.newsweekjapan.jp/stories/culture/2020/11/post-95028.php