信号機ない横断歩道渡れない 全盲男性が悲しい自作歌「私がここで死んだなら…」 思いやり運転訴え

「みなさん大変ですか? スピード落とすこと 一旦停止すること」−。車が止まらないため信号機のない横断歩道を渡れない歩行者の思いを、薩摩川内市平佐町の堂前秀一さん(55)が歌にした。堂前さんは全盲で、タイトルは「私がここで死んだなら」。歌を通して「思いやりのある運転を」と訴える。

 福祉施設の機能訓練指導員として働く堂前さんは、1歳の時に網膜膠腫(こうしゅ)と診断された。わずかに光を感じる程度で、白杖(はくじょう)と超音波で障害物を感知する補助具を使う。

 通勤で毎朝歩くのは同市平佐町の県道山崎川内線と市道川内・加治屋馬場線の交差点。横断歩道はあるが、信号はなく、車はなかなか止まってくれない。さらに交通量が増える夕方は、信号のある交差点まで遠回り、倍の時間をかけて帰る。

 堂前さんはバンド活動をしており、「ほんの数秒をなぜ待ってもらえないのか悲しい」という思いを詩に込め、曲をつけた。

 毎日歩く道だけど/とても怖い場所がある/車は多いが信号機はない/特別な配慮はいらないけれど/歩行者の気持ちをわかってほしい/私がここで死んだならボタン式の信号機がつくだろうか?/看板一つもたつかな?(一部略)

 ドキっとする歌詞だが、アコースティックギターの優しいメロディーで、じわりと心に響く。

 「右折車のサイドミラーが体に当たったこともある。その時はドライバーに怒鳴られた。命の危険を感じた。いろんな事情を抱えた歩行者がいることを理解してほしい」と話した。

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