「マクガンは島の宝」 夜の道 飛び出たヤシガニ 林に返す 池間島の自治会長、絶滅危機に夜の保護活動
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【池間島=宮古島】国際自然保護連合(IUCN)が7月に公表したレッドリストで絶滅危惧2類に指定された「ヤシガニ(宮古の言葉でマクガン)」を将来に残そうと、池間自治会長の仲間広二さん(56)が保護活動に取り組んでいる。夜間のパトロールで、道路に飛び出した個体を探して海岸林に戻す取り組み。「マクガンは絶滅の危険性が高まっている。島の宝を守りたい」と力を込める。(宮古支局・知念豊)

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 宮古島ではヤシガニは食用としても利用されており、かつての乱獲などで個体数が減少したとされる。市は2011年に「ヤシガニ保護条例」を制定。池間島を含む市内4カ所を保護区域に指定し、捕獲や殺傷を禁じている。

 市によると、指定区域の保護期間は14〜34年の20年間。違反すると10万円以下の罰金が科せられる。保護区域外でも、甲長8センチ未満の小型個体や12センチ以上の大型個体は捕獲できない。

 仲間さんがヤシガニの保護に乗り出したのは4年前。31年ぶりに東京から古里へ帰ってきて、車にひかれたヤシガニの姿を見てショックを受けたのがきっかけという。

 県外の観光客が夜間にスピードを出して車を走らせ、ヤシガニに気付かずロードキルにつながったのではと推測。「IUCNの指定をきっかけに、池間島では希少なマクガンが生息していることを知ってほしい」と願う。

 パトロールは1日置き。島北部のフナクス海岸沿いの道路を午後8〜10時の2時間、自家用車で見回る。特に繁殖期の6月〜8月はほぼ毎日行っているという。

 道路に飛び出したヤシガニはそっと捕まえ、交通事故に遭わないよう海岸林に戻す。中には無許可で捕獲する人もいるといい、宮古島署へ通報しているという。

 仲間さんは、島の開発に伴い、生息地である海岸林の伐採が進むことに危機感を抱く。

 島の原風景や希少生物を残すことが、ゆくゆくは島の観光資源につながるとし「豊かな自然を残すことで島の魅力が高まる。その大切さを訴えたい」と話した。