<社説>20年版防衛白書 県民の「負担」に向き合え

白書は、南西諸島の防衛を強化するとして、先島への自衛隊配備も進めていく方針も示している。

こうした沖縄への基地機能の強化は、戦争などの有事の際、「敵国」から核ミサイルなどの標的にされることを意味する。

県民は、本土決戦に備える時間稼ぎのために住民をも動員し多大な犠牲を強いた沖縄戦を経験した。「捨て石にされるのは二度とごめんだ」という意識が根強い。白書はこの危機感をまるで理解していない内容だ。

白書は近年頻発している米軍機からの部品落下にも触れず、県民にとっての負担に真摯に向き合っていない。
その負担とは、有事の際には真っ先に命の危険にさらされ、時には捨て石にされ、平時には、事件事故、騒音などで人権が脅かされている状態である。

政府と県が基地負担を議論する場についても協議体名を列挙するだけで、開催状況や具体的な取り組みに触れていない。協議は停滞しており、もはや有名無実化しているからだ。
白書の内容は、県民の声に耳を傾けない政府の姿勢を如実に表している。

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