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球界平成裏面史(51) ヤ軍・伊良部の巻(1)
平成9年(1997年)、ロッテのエースだった伊良部秀輝投手が
米大リーグの名門ヤンキースに移籍した。日本を代表する剛腕がついにメジャーの舞台に立つ。
記者はデビュー戦に向けてミニキャンプをスタートさせた伊良部の取材のため、
6月9日に米国・フロリダ州タンパにあるヤンキースの練習グラウンドに到着。
そこで人間・伊良部を物語る“乱心事件”に直面する。
その大男は練習を終えると、のっしのっしと約20人の報道陣の方に近づいてきた。
明らかに挑発的な態度で近くに腰をかけ、薄ら笑いを浮かべて
「あんたら何しに来たん? 勝手に写真を撮っていいん? あんたらはイナゴと同じ。
おいしい田んぼを見つけては集団で群がり、すぐにいなくなる」と話しかけてきた。
すでにブチ切れているのは分かる。そのうち感情がむき出しとなり
「俺は野球を失うかもしれない状況でずっと戦ってきた。あんたらにひどいことを書かれたこの傷は消えない。
割られた茶碗は直らない」「俺にペンがあれば原稿は書けるが、あんたらはボールを投げられるのか?
俺はミケランジェロ。あんたらに作家やミケランジェロの心境が分かるのか」…。
怒りの収まらない伊良部は巨体を揺すり、こちらに手を出して絡んでくる。
サングラス姿の報道関係者を見つけるとサングラスを取り上げ、名刺を出させるとこれ見よがしに破り、
肩をつかまれ、さらにペンを取られて折られる者も…。「どこの社や?」「出身はどこや?」。
身の危険を感じるほどの迫力に報道陣は凍りつき、
ヤンキースの広報担当者が止めに入らなかったらどうなっていたかわからない。
https://www.excite.co.jp/news/article/TokyoSports_1907727/