韓国の文在寅大統領は6月1日夜のトランプ氏との電話会談で、さっそく「喜んで出席する」との返事を伝えた。
 トランプ氏には「中国包囲網」拡大の意図がある。世界に感染が拡大した新型コロナウイルスへの初期対応や、香港への国家安全法導入問題をめぐり、米中間で対立が激化しており、中国を排除しつつ、米国が主導するG7の枠組みに主要国を引き入れることで、中国への圧力を強化したい考えのようだ。

 このトランプ氏の表明に、中国側は共産党機関紙・人民日報系列「環球時報」発行の英字紙グローバルタイムズを使って猛反発した。

 6月2日の論評では、トランプ氏が▽世界保健機関(WHO)からの脱退表明▽気候変動への国際的な取り組みを決めたパリ協定(2015年)からの離脱▽イラン核合意(2015年)からの離脱――などの措置を取ってきたことと、
今回のG7枠組み変更を重ね合わせたうえで「特定の機関や協定が、トランプ政権の利益に反する、あるいは満足させられないと思えば、そうしたものと米国との関係を終わらせる」と非難した。

 そのうえで、米国が招待した4カ国のうち、あえて韓国を取り上げ「韓国は経済、外交、政治において、国際社会で大きな影響力を持っているわけではない。サミットに参加しようがしまいが、あまり意味はない」との認識を示した。
新型コロナウイルスの感染拡大での国際調査をめぐって対立するオーストラリアについても「韓国と同様の状況にある」と位置づけた。

 さらに韓国に踏み絵を迫っている。
「各国は果たして米国と同一歩調を取るのか。ロシアはそうしない。韓国やフランス、ドイツ、イタリアも、そうはしない、と予想される」
 また、日本やオーストラリアとの関係においても自信をのぞかせている。
「中国を批判・非難するために日本とオーストラリアは米国側に加わるかもしれないが、中国に対する実質的行動には出ないのではないか」
 韓国は米中両大国の間で板挟みにされることが多い。安全保障面では米国の同盟国ではあるが、経済面での依存度は中国が高い。
韓国はG7招待を「先進国への仲間入り」と肯定的にとらえつつも、習近平中国国家主席の早期訪韓を求める立場上、G7参加を「中国包囲網形成」というニュアンスでとらえられないよう注意を払うものとみられる。