「フェイクニュースは望ましくないことです」
こう視聴者に語りかけるのは、20代前半と見られる短髪の美女「ウンア」だ。彼女は北朝鮮で最も有名なユーチューバーで、海外メディアも関心を寄せる存在。
正体は不明だが、時に流暢な英語を使い北朝鮮の内情を流している。

東京新聞論説委員の五味洋治氏が語る。
「『ウンア』が登場するのは、『Echo DPRK』という北朝鮮のユーチューブチャンネルです。同チャンネルは17年8月に作られ、以前は北朝鮮ののどかな日常生活などを流していました。
注目されるようになったキッカケは、今年4月。金正恩委員長に重病説が流れ、米紙『ワシントンポスト』が平壌で買い占めが起きていると報道。それに反論するような動画に、『ウンア』が出演したんです」

動画の冒頭で「ウンア」は「買い占めは真実でしょうか。偽りでしょうか」と語りかけ、平壌市内の大手デパートを訪れる。店内に溢れる豊富な品々。
「ウンア」が尋ねると、買い物客は「モノは不足していません」と平然と答えた。そして彼女は「フェイクニュースは望ましくない」と言って、番組を締めくくるのだ。

さらに「ウンア」は、外国メディアが入れないような場所でも自由に撮影。
新型コロナウイルスの感染予防をしている現場や、高級アパートに住む子どもたちの暮らしを流し北朝鮮のイメージ向上に一役買っている。
動画は大半が2分ほどだが、アクセスが2万を超えるモノもあるのだ。

「韓国の研究者は、『ウンア』の動画には正恩氏が大きく影響しているとみています。
特に深く関与していると思われるのが、妹の与正氏。北朝鮮の宣伝担当をしているのは与正氏ですから。

正恩氏には海外留学経験があり、30代と年齢も若い。一説には毎日『CNN』を熱心に見て、海外の報道を研究していると言われます。
今後は若い世代を意識し、情報発信もSNSなど従来とは違った方法が多くなるのではないでしょうか」(五味氏)
https://friday.kodansha.co.jp/article/116831
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