事故原因はドライバーの居眠りか自動ブレーキの故障か――。
自動運転機能がある車が絡んだ死亡事故を巡り、こうした点が争われた裁判が3月、横浜地裁であった。
高度な自動運転が普及すれば、車のシステムと、ドライバーの操作のどちらに事故原因があるかを争う裁判が増える可能性がある。
今回はドライバーに有罪判決が出ている。

神奈川県綾瀬市の東名高速。渋滞の中を米テスラの多目的スポーツ車(SUV)がゆっくり走行していた。
車間距離や速度の調整、衝撃を和らげる自動ブレーキがある「運転支援システム」は作動状態。
ドライバーが眠気に襲われ目を閉じた約1分後、車は加速し、別の事故で路上に止まっていたバイクに衝突した。

2018年4月に起きたこの事故は多重事故に発展し、1人が死亡、2人が重軽傷を負った。
検察は男の居眠りが事故原因として自動車運転処罰法(過失致死傷)罪で起訴。
男の弁護側は居眠りや事故状況について認める一方「運転支援システムの故障によって事故が起きた」と主張し、
ドライバーと車の運転支援システムのどちらに責任があるかが争点になった。

検察側は車のメーカー側の技術者の証言をもとに「システムは故障しておらず、自動ブレーキも全ての物体を確実に検知できるものではない。機能の限界だ」と主張した。
注目された今年3月の判決は故障の有無について「判然としない」と判断を避けつつ、「前方を注視していれば衝突を回避できた」と指摘。
禁錮3年、執行猶予5年とした有罪判決が確定した。

自動ブレーキ作動せず事故 責任はだれに?
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59437030S0A520C2SHJ000/