<女性が自分と性交したがらないために「不本意な禁欲」を強いられている。自分が不幸なのは、女にモテる男や、
モテる男になびく女のせいだという身勝手な考えに基づく犯罪が増加している>

カナダで2月に起きた女性刺殺事件に関連して、現地の警察は5月19日、10代の少年を殺人ではなくテロ容疑で起訴した。
少年は、女性蔑視主義者「インセル」の運動の影響で事件を起こした可能性があると判明したからだ。

インセルとは、「不本意な禁欲主義者(involuntary celibate)」の略で、恋人がいなくて禁欲を強いられているのは女性のせいだ、
と考えるオンライングループの男性を指すことが多い。

容疑者(未成年のため身元非公表)は2020年2月、トロントにある風俗店で複数の女性を刃物で刺し、1人を殺害、2人に怪我をさせたとして、
既に第一級殺人と殺人未遂の罪で訴追されていた。
その後、容疑者がインセル運動の考え方に影響を受けて犯行に及んだ可能性を示す証拠が出たことで、当局は容疑を「テロ攻撃」に変更した。
カナダで個人がインセル運動に関連する罪で訴追されるのは、今回が初めてのことだ。

カナダ騎馬警察は19日に発表した声明の中で、「この事件の容疑者は、インセルとして知られる、特定の思想に駆られた暴力的過激主義に感化されていた」と説明。
「テロリズムは特定のグループや宗教、思想に限定される訳ではなく、さまざまな形を取るものだ」と述べた。
(以下略)

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/05/3-205.php