【視点】安定した台湾、沖縄にも不可欠

台湾の蔡英文総統が政権2期目をスタートさせた。
民主主義や自由経済を標ぼうする台湾は、日本周辺では数少ない貴重なパートナーであり、八重山にとっても一衣帯水の間柄だ。
台湾を自国の一部であると主張する中国は「一国二制度」による統一への圧力を強めている。
沖縄県民としても台湾を側面から支援したい。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、石垣市の姉妹都市である台湾蘇澳鎮はマスクを寄贈し、心温まる激励のメッセージ動画を送った。
台湾が大切な友人であることを改めて実感した市民も多いのではないか。

一方の中国はコロナ禍の中でも石垣市の尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返し、今月には領海内で与那国町の漁船を追尾した。
こうした現実を見ても、沖縄が中国の勢力拡大に歯止めを掛け、台湾を支援する戦略的な必要性に迫られていることは明らかだ。
県政もこうした基本姿勢に立って対中姿勢を定めてもらいたい。

<中略>

中国が台湾への軍事的圧力を強めたり、台湾に親中政権が誕生したりすると、沖縄もまた不穏な情勢に巻き込まれる。
民主的な台湾が安定して存在することは、沖縄の平和と繁栄の条件でもある。
台湾に対する中国の圧力は、新型コロナウイルスとの世界的な戦いの中でも問題になっている。
世界保健機関(WHО)総会へのオブザーバー参加を望んだ台湾に対し、中国は「一つの中国」の原則を訴えて拒否し、参加は認められなかった。
菅義偉官房長官は「残念だ。国際保健の課題に対応するにあたっては、地理的空白を生じさせるべきではない」と述べた。
新型コロナウイルスへの対応も含め、中国寄りとされるWHОの体質を客観的な視点で検証すべき時が来ている。

http://www.yaeyama-nippo.co.jp/archives/11943