世界的なマスク不足に対して医療用マスクメーカーが「不眠不休によるマスクの増産」をしない理由とは?

新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、せきやくしゃみによる他者への感染を防ぐためのマスクが
世界中で不足しています。しかし、マスクの需要が急激に高まっているにもかかわらず、
アメリカでシェア1位を誇る医療用マスク生産企業「プレステージ・アメリテック」は、普段通りの
スケジュールで生産ラインを動かしているとのこと。なぜプレステージ・アメリテックがなぜ不眠不休で
マスクを増産する体制を拒否するのか、The Dallas Morning Newsが伝えています。

プレステージ・アメリテックは2005年に、製紙・健康用品メーカーであるキンバリー・クラークの
マスク製造部門から独立する形で創業しました。アメリカの医療用マスクで国内生産シェア1位を誇る
プレステージ・アメリテックにはマスクの注文が殺到しており、プレステージ・アメリテックの
マイク・ボーウェン社長によれば「マスク需要は供給量の200倍に達しています。私の電話は2分ごとに鳴り、
1分ごとにメールが届きます」と述べています。

しかし、それほどマスクの需要が高まっているにもかかわらず、プレステージ・アメリテックは
2020年4月時点で平日昼のみの稼働となっており、夜と週末になると会社の駐車場は空になってしまうとのこと。
プレステージ・アメリテックが拠点を構えるテキサス州ノース・リッチランド・ヒルズ市のオスカー・トレビノ市長は
「マスク不足が叫ばれているにもかかわらず、プレステージ・アメリテックが24時間365日の生産体制を
取らないのには理由があります」と語ります。

2009年に豚由来のH1N1型インフルエンザが世界的に流行した際、他国からのマスク輸入がとだえたために、
プレステージ・アメリテックにアメリカ全土からマスクの注文が殺到し、ボーウェン社長は1日3交代制による
大増産を行いました。マスクの供給量は格段に上がったものの、インフルエンザの流行がおさまると
再び医療用マスク市場は中国の安価なマスクに流れてしまい、プレステージ・アメリテックは1億ドルの
負債を抱え、倒産寸前に追い込まれてしまったとのこと。

https://gigazine.net/news/20200406-face-mask-maker-working/