緊張感をもって事態に臨まなければならない状況が続きそうだが、
新型コロナウイルスへのワクチンや治療薬は懸命な開発が続けられており、
光明が差し始めているという。

「複数の国や財団で構成された感染症流行対策イノベーション連合
(本部:ノルウェー)などが莫大な資金を研究機関に出資しており、
世界各地で競争的に開発が進められています。ワクチンの開発スピードは
史上最速で、数年単位だったものが数カ月にまで短縮されているんです」

こう語るのは、治療薬の臨床試験を主導する米国国立衛生研究所で、
ウイルス研究を行う峰宗太郎医師。ワクチン開発は大量の資金や人手のみ
ならず、最新の科学技術を投入のもと行われているという。

「米国立アレルギー・感染症研究所とモデルナ社は共同で、mRNAワクチン
という全く新しいタイプのワクチンを開発しました。従来のワクチンは、
弱毒化したウイルスやタンパク質を接種することで、病原体に対する抗体
を体内に作らせます。いっぽうmRNAワクチンは、病原体の設計図である
遺伝物質の一部を接種します。すると病原体の一部が体内でできる。
これをもとにして、ウイルスや病原菌に対する抗体が作られるんです」
(以下、括弧内は峰宗太郎医師)

mRNAワクチンの特徴は、従来のものより開発期間を短くできること。
実際に、新型コロナウイルスに対するワクチンの試作品は、開発に着手して
からわずか2カ月で完成した。

「すでに45人を対象に、安全性を確かめる人での第1相の臨床試験が始まって
います。今後は投薬量を決めたりする第2相、有効性を確認する第3相の試験を
行う予定。それぞれ最低3カ月程度は必要なので、順調に進めば1年程度で完成
するでしょう。ただ、mRNAワクチンは今まで誰も作製したことのないワクチン
です。副作用もはっきりしていないので、慎重に進めてほしいですね」

他にもワクチン開発は世界各地で進む。米国のミルケン研究所によると、
3月26日時点で47ものプロジェクトが立ち上がっているという。なかでも、
米国のmRNAワクチンと同様の速さで進むのが中国だ。

「中国のワクチンは作製に時間のかかる従来型のものですが、驚異的な研究
スピードにより臨床試験がすでにスタートしています。中国政府は感染拡大を
受け、試験に関する規制も緩和しているようなので、他国よりも早く、半年
から1年程度でワクチンを完成させるかもしれません」


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