首都・東京で「爆発的患者急増(オーバーシュート)」が発生する危険性が高まっている。3日連続(25〜27日)で40人以上の新たな新型コロナウイルスの感染者が確認されたうえ、感染経路不明のケースが多いためだ。
連日感染者が増え、事実上の「都市封鎖(ロックダウン)」といえる米ニューヨーク州の初期段階と似ているとの指摘もある。急激な「感染拡大の戦犯」は、感染しながら無症状のまま動き回っている大学生から40歳代とされる。多数の人命や人々の生活、日本経済に甚大な影響を及ぼしかねない。
大阪などの関西圏も人ごとではない。政府は26日、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法(新型コロナ特措法)に基づく政府対策本部を設置し、「緊急事態宣言」の発令に備えている。

 「国難と言うべき事態を乗り越えるため、国や地方公共団体、医療関係者、事業者、国民が一丸となって感染症対策を進めていくことが必要だ」

 安倍晋三首相は26日夕、官邸で開いた政府対策本部の初会合でこう語り、関係閣僚に基本的対処方針の策定を指示した。対策本部の設置で、「緊急事態宣言」が発令できるようになった。
対処方針の原案では、都道府県知事が要請する外出自粛や学校など施設の利用制限の期間は「21日程度が適当」との目安を示した。

 政府の専門家会議は同日午前、国内の感染状況について、「蔓延(まんえん)の恐れが高い」という報告書を了承した。東京での感染者急増などを踏まえたものだ。

 東京都は26日、47人の新型コロナウイルス感染者が新たに判明したと発表した。25日も41人の感染が確認されており、都道府県による1日の発表人数としては2日連続で最多を更新した。
都内の感染者は、全国最多の計259人となった。

 都の感染者数の変化について、3月上旬のニューヨーク州との類似点を指摘する専門家もいる。米国は26日、感染者数が8万2000人を超えて、世界最多となった。

 危機感を覚えた小池百合子都知事は同日夜、官邸で安倍首相と会談し、都内での感染者急増を受け、空港での検疫といった水際対策の強化や自治体への大胆な財政措置などを求める要望書を提出した。
小池氏は「国の大きな力強い協力が必要だ」と強調した。

 都内で感染者が急増している背景としては、欧州など流行国から帰国した人の感染判明が増えていることに加え、「無自覚な若者らの行動」が指摘されている。
小池氏は25日の記者会見で「首都封鎖」の可能性に言及しながら、次のように語っていた。

 「症状が出ない人、軽い人が無意識にウイルスを拡散させることがある」「若い方が感染した自覚がないまま、あちこちで活動されている」
「夜間の外出もお控えいただきたい」「一人ひとり、自覚を持って行動してほしい」