正しく知るPCR検査 「非感染の証明求め病院へ」ダメ
3/25(水) 9:30配信
朝日新聞デジタル

 新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大している。熱やせきといった症状が出た時に医療機関を受診する際の注意点や、
感染を確認するPCR検査の意味について考えた。

 茨城県つくば市の「坂根Mクリニック」。クリニックには、
発熱して新型コロナウイルスの感染を心配する人から相談電話が頻繁にかかってきたり、
同じ患者が不安にかられて午前と午後に来院したりすることもあるという。
気管支炎を起こし、感染が疑われたケースもあった。保健所に連絡してPCR検査をしたところ、結果は陰性だった。

 感染初期の症状では、風邪か新型コロナウイルスによるものかは見分けられない。
坂根みち子院長は「地域医療の最前線にあるのがクリニックや診療所。
感染を広げないためにも新型コロナウイルス感染の可能性があるとの前提で感染予防策を取っている」と話す。

 2月中旬から入り口に消毒薬を置き、すべての患者に手と指の消毒を呼びかけ、
風邪症状や腹痛、下痢などの症状がある人は、他の患者と一緒にならないように別室に案内している。
診察前には、医師、患者ともに改めて消毒している。

 PCR検査は公的医療保険でできるようになったが、インフルエンザの検査のようにどの医療機関でもできるわけではない。
定められた「帰国者・接触者外来」を受診し、医師が必要と認めた場合に限られる。

 「検査を限定しているので隠れた患者がいるのではないか」との声がある。
政府の専門家会議メンバーの岡部信彦・川崎市健康安全研究所長は「感染が広がり、隠れた患者がいれば、
各地の病院で原因不明の肺炎が増えているはずだが、そのような話はない。
すべての患者を把握できていないかもしれないが、その数は多くはなく、
重症者や死亡者としては出てきていないと思う」と説明する。(松浦祐子)

■重症者を優先、治療につなげる

 聖路加国際病院QIセンター感染管理室マネジャーで看護師の坂本史衣(ふみえ)さんに新型コロナウイルスのPCR検査について聞いた。

 ――検査を望む人が増えています。

 感染のあるなしを正確に判定できると誤解があるようです。
PCR検査は感染しているのに陰性となる「偽陰性」や感染していないのに陽性と判定される「偽陽性」が出ることが避けられません。
100人の感染者のうち最大でも約70人しか検査では陽性にならないとみられています。
本当は感染しているのに、検査結果が陰性だったら感染を広げる可能性があります。
本当は感染していないのに陽性になれば、隔離のため入院することになり、病床不足につながりかねません。

(続く)