ヘイトスピーチで名前公表 条例は憲法に違反せず 大阪地裁
2020年1月17日 17時55分

民族差別をあおるヘイトスピーチを行った個人や団体の名前の公表を定めた大阪市の条例が、
表現の自由を保障した憲法に違反するかどうかが争われた裁判で、
大阪地方裁判所は「条例の目的は正当で、表現の自由の制限はやむをえない限度にとどまっている」
として憲法に違反しないとする判断を示しました。

大阪市はヘイトスピーチの抑止策として、弁護士などでつくる審査会が認定した場合は、
ヘイトスピーチを行った個人や団体の名前などを公表することを市の条例で定めています。

この条例について、市内の男女8人が裁判を起こし、憲法が保障する表現の自由を過度に制約するおそれがあると訴えていました。

17日の判決で、大阪地方裁判所の三輪方大裁判長は「条例は表現の自由を制限する側面があるものの、
民族差別や憎悪の感情を増幅させることや暴力行為に発展することを抑止するという目的は正当で、
名前などの公表も公共の福祉による合理的でやむをえない限度にとどまっていて、
表現の自由に対する制限として容認される」と述べて、憲法に違反しないとする判断を示し、原告の訴えを退けました。

判決後に会見した原告側の弁護士は「基準があいまいな規制は表現者を萎縮させる。納得はしないが、
問題を議論するうえでは土台となる重要な判断だ」と話しました。

大阪 松井市長「合憲と判断されよかった」
大阪市の松井市長は判決のあと記者団に対し「条例が合憲と判断されてよかった。
生まれた場所や国籍で、その人の存在価値や意義を否定するような表現が、
この世界からなくなってくれればいいと思う」と述べました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200117/k10012249571000.html