【ローマ=笹子美奈子、ニューヨーク=橋本潤也】米軍によるイラン革命防衛隊のスレイマニ司令官らの殺害で米国とイランの緊張が高まっている事態を受けて、
欧州各国とカナダは殺害現場となったイラクの首都バグダッドから、駐留部隊の退避を始めた。いずれも、イランがイラクの米軍と有志連合の基地に弾道ミサイルを撃ち込む前に明らかにした。

 ドイツ国防省は7日、イラクに駐留する約120人のうち、バグダッドと近郊に駐留する35人をヨルダンとクウェートに退避させたと発表した。
北大西洋条約機構(NATO)が6日、イラク治安部隊への訓練任務の中断を発表したことに伴って、ルーマニア、クロアチア、スロバキアも7日、クウェートや他のNATO軍基地への退避を発表した。

 伊紙コリエーレ・デラ・セラ(電子版)によると、イタリアはバグダッド中心部に駐留していた約50人を避難させた。英紙ガーディアン(電子版)によると、英国もバグダッドから約50人を退避させた。

 また、カナダ軍のバンス参謀総長は7日、兵士の家族に宛てた書簡を公表し、イラクに駐留する兵士500人の一部を隣国クウェートに撤収させると明らかにした。
バンス氏は「安全を確保するのが最優先だ」とし、現在行っている任務を一時停止する意向を示した。カナダ軍はイラクで、NATOの任務のほか、イラク兵の訓練業務などを行っていた。

 イラク国民議会は5日、約5000人の駐留米軍を含む外国軍の全面撤退を求める決議案を可決している。

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