なぜ指針案がこのような曖昧な表現に留まってしまったのか。
その理由は、労働政策審議会における企業サイドの強い抵抗があった。

筆者も傍聴に行ったが、我々のアンケート調査結果を引用しながらフリーランスや就活生に対する
ハラスメント防止措置を求める労働者サイドの委員と、「あくまで防止措置の対象は雇用関係のある
従業員に留めていただきたい」という経団連や商工会議所などの企業サイドの委員との意見が、
真っ向から対立していた(委員名簿はこちら)。

企業サイドの主張として、(フリーランスや就活生を対象にすると)
「対象が広がり過ぎて現場が混乱する」
「(どういう人からどんな事例が持ち込まれるかわからないので)ハラスメントかどうかの判断が困難」
などの発言が出ていた。