両社のキャスティングボートを握っているのが、ニューフレア株の約16%を保有する2位株主で射出成形機が主力の東芝機械だ。
東芝機械が東芝のTOBに応じれば、ほかの機関投資家などが反対しても東芝のTOBは成立する見通しだ。

もっとも東芝機械は社名に「東芝」とつくものの、東芝の出資比率はわずか2%。
2017年に東芝は保有していた東芝機械の大部分となる株式約18%分を売却しており、現在は東芝グループから完全に離れている。
2020年4月に社名も「芝浦機械」に変更する予定だ。

その東芝機械の筆頭株主に躍り出ているのが、有名投資家の村上世彰氏が実質率いるオフィスサポートだ。
ここ最近で株式を継続的に買い増しており、“村上ファンド”の存在感がじわりと増している。
さらに村上ファンド系の南青山不動産もニューフレア株を買い進めている。
HOYAの鈴木洋CEOが村上氏と同じシンガポールを拠点にしているため、さまざまな臆測も流れている。

ただ、村上氏は周囲に「HOYAのCEOには会ったこともないし、連絡したこともない。
裏で糸を引いているように思われるのは濡れ衣である」と話しているという。

今後はどういうシナリオが考えられるのか。東芝機械の株主にとって、東芝より1000円高いHOYAの提案が魅力的なのは間違いない。
その場合、東芝が本気でTOB成立に動くにはTOB価格の引き上げも選択肢に入る。

実際、ニューフレアの株価はHOYAの発表以降、上げ幅は10%を超え、足元で高値圏が続いている。
ただ、東芝はガバナンス強化の一環で外国人の社外取締役が増えており、買い取り価格を重視すれば、HOYAを上回る価格には難色を示す可能性もある。