リチウム電池を搭載した潜水艦の開発が韓国でまもなく開始される。KSS-III batch-2と呼ばれる潜水艦開発プログラムで、米海軍やシンクタンクの東アジア戦略家などの間で高い関心が持たれている。
なぜならば、韓国の現政権の北朝鮮に対する融和姿勢や、中国による韓国を取り込もうとする動き、そして何よりも日本との極度な関係悪化といった諸状況下での高性能潜水艦の建造計画だからである。

KSS-III batch-1は、おなじくAIP潜水艦である海上自衛隊「そうりゅう」型潜水艦(「おうりゅう」以前の10隻)が採用しているスターリング機関方式AIPとは違う。
より静粛性と出力が高いとされる燃料電池方式AIPを採用していて、KSS-III batch-2ではさらに静粛性と出力を高めるためにリチウムイオン電池を採用しようとしている。

しかし、冒頭に触れているように米海軍関係者らが関心を示しているのは、KSS-IIIが備えている戦闘能力についてである。KSS-III batch-1には魚雷発射管(全ての潜水艦が装備している)に加え、各種ミサイル発射用の垂直発射管(VLS)が装備されているからだ。

現時点でKSS-III batch-1に搭載される巡航ミサイルは、「玄武-3C」対地攻撃用長距離巡航ミサイルを潜水艦発射型に改造したものと考えられている。
玄武-3C巡航ミサイルは最大飛翔距離が1500kmあり、黄海や日本海の海中のKSS-III潜水艦から北朝鮮全土を余裕を持って攻撃することが可能だ。
北京や上海も十分に射程圏に収めているだけでなく、日本全土も圏内になる。

このようにKSS-IIIは高度な性能と強力な攻撃力を備えた潜水艦ということになるが、だからこそ「対地攻撃用長距離巡航ミサイルや弾道ミサイルまで装備する目的は何か?」という疑問が生じるのである。

「日本海や場合によっては西太平洋から、日本をミサイル攻撃する能力を持つ強力な潜水艦を開発しているのではないか?」という推測が米海軍関係者らの間で浮かび上がらざるを得ないのである。

https://globe.asahi.com/article/12260549
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