(社説)日韓首相会談 放置しない、行動こそ


李氏は来日前、朝日新聞との会見で「対話を通じ、できるだけ早く7月以前の状態に戻れるよう望んでいる」と語った。
 日本が報復として7月に実施した輸出規制強化を問題の起点として捉え、それ以前に戻そうとの提案だろう。

 その意味で日本政府による輸出規制強化は、逆効果だった。強硬手段で韓国政府を動かそうという試みだったが、
歴史に由来する懸案に経済問題を絡めたことで文政権と韓国世論を硬化させた。

 韓国人客の激減により日本各地の観光地は打撃を受けているほか、自動車など日本製品の韓国での売れ行きも急落した。
韓国側の産業界も、貿易規制をめぐる不安を抱き続けている。

互いを傷つけあう不毛な諍(いさか)いに終止符を打つため、政治の強い意志を示すときだ。
日韓首脳が1年以上も会談していないのは異常である。

 安倍氏と文氏は早急に直接向きあい、両国民の利益を探る理性を見せてもらいたい。
厳しい時間が長引くほど、関係のもつれをほぐすのは難しくなる。

https://www.asahi.com/articles/DA3S14230655.html