温暖化による「水没難民」は2億8000万人に、名古屋・大阪の一部も 研究

【9月24日 AFP】迫害、飢饉(ききん)、内戦などから逃れた難民の大半は、一つのことを夢見ている。それは、いつの日か故郷に帰ることだ。
だが、海面上昇によって何億人もが住む場所を追われると──科学者らによると、ほぼ確実に現実となる──帰れる望みはない。

 地政学に関わる環境問題の専門家で、ベルギー・リエージュ(Liege)にあるヒューゴ観測研究所(Hugo Observatory)の所長を務める
フランソア・ジェメン(Francois Gemenne)氏は、AFPの取材に「海面上昇に関しては、帰郷という選択肢のない人口移動になる」と語った。

(中略)

■どの区域は犠牲にしていいか、場所のトリアージが必要に

「比較的小規模の集団が移住するだけで政情不安が引き起こされている現状を考えてみてほしい」と、ストラウス氏。
「将来は、海が陸地を浸食しているという理由で何千万もの人々が移動することになると考えると、ぞっとする」 

 2度の気温上昇によって、人口500万人以上で最終的に現人口の20%以上が住む家を追われるとして挙げられている都市は、例えば以下のような所だ。
バングラデシュのボリシャル(Barisal、38%。以下、現人口における割合)とチッタゴン(Chittagong、42%)、中国の香港(31%)、淮安(Huaian、42%)、
江門(Jiangmen、55%)、南通(Nantong、72%)、台州(Taizhou、67%)、インドのコルカタ(Calcutta、24%)とムンバイ(Mumbai、27%)、日本の名古屋(27%)と大阪(26%)、
ベトナムのハノイ(Hanoi、28%)とホーチミン(Ho Chi Minh City、45%)、ナイジェリアのラゴス(Lagos、23%)、フィリピンのマニラ(Manila、26%)、タイのバンコク(Bangkok、42%)。

 ヒューゴ観測研究所のジェメン氏は、「国や自治体は、どの区域を堤防や土手で保護するのか、どの区域は犠牲にしてもいいのか、
トリアージ(優先順位)を決めなければならなくなる」と話した。(c)AFP/Marlowe Hood and Amelie Bottollier-Depois

https://www.afpbb.com/articles/-/3246019