那覇市議会で、議決対象となっていない不要な議案を可決したことを巡り、城間幹子市長は5日に開かれた臨時会で経緯を説明し「混乱を招いたことを深くおわび申し上げる」と謝罪した。
議会は「市民および議会の信頼を大きく損なうものだ」とし、市長に再発防止と緊張感のある行政運営を求める抗議決議を、全会一致で可決した。
市議会事務局が確認した限りでは、那覇市長への抗議決議は平成以降、初めてという。

臨時会で質問した与野党は、一様に「歴史に残る大失態」「茶番劇だ」と批判した。

一部の議員は「個人としては、議員として襟を正す必要がある」と議会側も議案を精査する必要があるとした上で
「市と議会ではマンパワー(職員の数)が違う。行政の責任を問わざるを得ない」と述べた。

市は、訴えの提起は全て議決を得る必要があるとの思い込みで提案してしまったと説明。同じ過ちを繰り返さないよう、チェック体制を強化するとした。

議決したのは、市内の土地区画整理事業に伴う換地処分を巡り、土地の相続人らが市を提訴した案件。
市は昨年11月の臨時会に控訴議案を提出した。議会は賛成多数で同意し、上告の際は議決を求める付帯決議を、全会一致で可決した。

市が上告手続きを進める中で、地方自治法に定められた議決対象から除外されていたことが発覚した。議決しても違法ではないという。市は付帯決議で求められた議決は不要と判断し、7月30日に上告した。
市長が誠意を持って対応していたら…

 地方自治に詳しい琉球大の島袋純教授(政治学)の話

同意の必要がない議案を提出し、議決に至ったこと、それに対して抗議決議が出たことを、市長は重く受け止めてほしい。議決は不要と判断したとしても、速やかに報告し、議員の意見を聞く機会を設けるべきだった。
誠意を持って対応していたらここまでの事態にはならなかったはずだ。

議案へのチェック機能を議会事務局にも持たせるべきだが、現実はそこまでできる人員は確保されておらず、限界がある。
今回のケースは議会による市政チェックへの第一歩につながる。今後は議案が議決事項かどうなのかについても、目を光らせるべきだろう。

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/454889
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