――日本MGMリゾーツ社長であるハイランドさんはユニークな経歴をお持ちですね。

私の前職は、駐日アメリカ臨時代理大使でした。2017年の夏に外交官としてのキャリアを終え、現職に就きました。
臨時代理大使になる前は東京のアメリカ大使館で首席公使を務めました。学生時代を含めると、私の日本滞在期間はすでに17年にも及びます。


――「統合型リゾート」と訳されることも多いIRですが、日本ではまだあまり詳しくは知られていません。

IR内において、IR整備法が定めるカジノスペースの占有面積の割合上限はどのくらいだと思いますか?三択で、「@50%、A80%、B3%」

正解はBの3%です。では何がIRの目玉なのでしょうか。先ほども触れましたが、まず数千規模の客室を擁す国際競争力を有したホテルと、大規模なイベントを開催する展示場スペースが入ります。
続いて、アリーナや劇場などのエンターテインメント施設、美術館などの文化施設、日本各地への観光を案内するビジターセンターと、ウェルネス関連の施設が多くのスペースを占めることになるでしょう。


――こうした施設が統合されていることからIRと呼ばれているのですね。なかでも特徴的なのはどのような施設ですか?

特徴的なのは、MICE施設です。
MICEとは、企業などの会議(Meeting)、企業などが行う報奨・研修旅行・インセンティブ旅行(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会などが行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字を取ったもので、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントの総称です。

日本は深刻なホテル不足に悩まされています。同時に、あまり報道されていませんが、国際的な会議や展示会を開催するための収容・開催能力も極度に不足しているのです。
MGMは、ラスベガス1社で約37万平方メートル(東京ドームの約7.9個分)の広さを誇るMICE施設を運営しています。一方、現時点で日本最大の展示場の面積は9.7万平方メートルです。