https://hochi.news/articles/20190716-OHT1T50312.html

第25回参院選(21日投開票)で、社民党(衆院2、参院2)は存亡を懸けた崖っ縁の戦いを強いられている。
戦後長らく野党第1党の座にあった旧社会党の結党から74年。
今選挙の比例で有効得票総数の2%、あるいは公認候補2人以上が当選しないと政党要件を満たせず、政治団体に転落する。
福島瑞穂副党首(63)は「生き残りたいし、灯を残したい。もし要件を満たせなかったら…いや、今は考えません!」と悲壮な思いを語る。
(北野 新太)

戦後政治史に一つの終止符が打たれるか、老舗の意地で踏みとどまるか―。
社民党の運命を分ける戦いは最終局面を迎えている。

比例票獲得のため、全国行脚を続ける福島氏は「労働者が流す汗をムダにしない政党…って言ったらちょっと古いけど、社民党は絶対に国会に必要です。今回も野党共闘の要石になりました。2%は厳しいハードルですけど、生き残りたいです」と、正念場に立たされた思いを語る。

与党過半数超えの公算が各社の事前調査で伝えられる中で「社民の2%ライン」が注目を浴び始めている。
衆参計4議席の小所帯となっている党は、2議席獲得か得票率2%を突破しない限り政党要件を満たせなくなる。
2016年参院選では2・74%を得票したが、17年衆院選は1・69%と低迷。
今参院選でも続けて2%を切ると政治団体に転落する。
デッドライン突破には約120万の得票が目安となるが、微妙な情勢だ。

6月、今回が改選だった又市征治党首(74)が肺がん治療のため不出馬を表明。
想定外の展開の中、選挙区3人、比例4人を擁立した。
福島氏は、7人中5人が女性であることを強調し「みんな労働の現場から来てる。小洒落(こじゃれ)た女たちじゃないですよ」と、他党との違いをアピールするが、再び「マドンナ旋風」を起こすには、あまりに絶対数が少なすぎる。

前身の日本社会党は終戦直後の1945年に結党。一時分裂したが55年の再統一の後は野党第1党を担い続け、一時は衆院166議席の勢力を誇った。
故・土井たか子氏が率いた89年参院選では自民を過半数割れに追い込み「山が動いた」の名言も話題になった。
94年に誕生した自社さ連立政権では村山富市氏(95)が首相に就任したが、日米安保肯定など従来と真逆の政策を認めたことから党への不信感が増大。
96年、社民党へ改称するも、民主党への大量離脱で分裂。
以降、党勢は没落し続けている。

98年の政界進出と同時に社民入りし、2003年から10年間、党首を務めた福島氏は「社民党がブレずに訴えてきたことの多くは今の野党の総意になっている。言い出しっぺとしての役割があります」と断言する。
仮に政党要件を満たさなかった場合、立民への合流も取り沙汰されている。
旧社会党の系譜が完全に途切れる可能性もささやかれているが、「今は考えません。マイナスのことを考えていたら選挙は戦えない。ド根性で頑張ります!」と、雑念を振り払うように言った。