◆捜査機関や裁判所、議会の聴聞手続きなどでウソをつかせないことは、
判断手続きの生命にかかわるほどほど重要だ。にもかかわらず、制度的
装置が不十分でウソの供述と虚偽証言が横行し、真実が歪曲される。訴
訟で当事者が宣誓しなければ、ウソを自由に言うことができる。宣誓をした
後、虚偽の供述をした時に受ける処罰は、過料わずか200万ウォン程度
だ。宣誓した証人が偽証することが日常茶飯事であるにもかかわらず、実
際に処罰される場合はまれだ。根拠のない虚偽事実をまき散らして相手に
大きな被害を与えた政治家には、名誉毀損罪で罰金わずか数百万ウォン
が宣告される。国民には、「真実を知らせる義務」が共同体のための「国
民の義務」という認識も不十分だ。事件の重要な目撃者が「他人のこと
に関わりたくない」と言って、証言をはばかる。他の人々の不幸には見向
きもしない。一方、請託を受けたり、利害関係がある人を助けるためのウ
ソには積極的だ。
◆真実を発見する道具としてウソ発見器が使われる。しかしこれは、ウ
ソに対する恐れ、焦り、良心の呵責によって表われる生理的現象を測
定して判断するので、良心がマヒした人格障害者には通用しない。国
全体がウソ発見器も通じない良心マヒ者を育てている土壌になってい
る。暮らしの中でウソが積もれば、すべてに悪影響を与えるように、韓
国社会全般でウソが横行するようになれば、社会全体の健全な精神が
崩れ落ちる。一流国家に跳躍するには、国民の精神が崩れる前に、特
段の措置が必要だ。
?今子(べ・グムジャ)客員論説委員(弁護士)baena@chol.com