https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/443079

社説[広がる「#KuToo」]目の前の性差別に一石

 男性にはないルールを女性にだけ強いるのは、やはりおかしい。目の前の当たり前に潜む性差別に一石を投じる運動だ。

 職場でのパンプスやハイヒールの強制に異議を唱える「#KuToo(ハッシュタグ クトゥー)」と呼ばれる活動が共感を呼んでいる。

 ネーミングは性暴力を告発する「#MeToo」と、「靴・苦痛」を掛け合わせたもので、強制反対の動きはインターネットを通して瞬く間に広まった。

 グラビア女優でライターの石川優実さんの、次のような体験から始まった活動だ。

 葬儀場のアルバイトで、「5〜7センチの黒のパンプス」を履くよう指定された。立ち仕事が続き足の小指から出血してひどく痛んだ。ある時、男性社員の靴をそろえていると、軽さに驚いた。「働きやすそう。うらやましい」。

 8日現在、署名サイトに寄せられた賛同は3万人を超える。

 経験のない人はピンとこないかもしれないが、ヒールによるつま先の痛みやかかとの靴擦れは、時に我慢できないほどである。機動力や安定性も高いとはいえず、人によっては外反母趾(ぼし)など健康被害を引き起こす。

 問題は、接客業を中心に「女性のマナー」として、パンプスやヒールのある靴を履くことをルール化している企業があることだ。

 解禁となった大学生の就職活動でもリクルートスーツにパンプスが標準とされ、何件もの企業を回る女子大生からは「苦痛」の声がもれる。

(続く)