「生涯未婚率」を改称 50歳時未婚率に

 五十歳まで一度も結婚をしたことのない人の割合を示す「生涯未婚率」について、
政府が表現を変更し、「五十歳時未婚率」に統一することが分かった。「五十歳
以降は結婚できないのか」といった意見を受け、「生涯」という言葉は正確性を
欠くと判断。未婚化・晩婚化といったライフスタイルや結婚観の多様化に用語を
合わせた形だ。
 既に政府が刊行する一部の白書では生涯未婚率という言葉の使用を中止。人口
推計などの統計で重要なデータとなるため公表は続けるが、今後は五十歳時未婚率
に統一する方針だ。ただ用語が定着しているため、当面は併記する場合もある。
 生涯未婚率は、五年に一回の国勢調査に合わせて、厚生労働省の研究機関である
国立社会保障・人口問題研究所が公表。配偶者と離婚や死別をした場合は含まれない。
 同研究所によると、人口推計などの統計を算出する時は、女性の結婚を出産と
関連づけて議論している。五十代になると妊娠する可能性が低くなることから、
五十歳時の未婚割合を算出してきた。(略)

◆当事者の疑問、政府に届く
 政府の資料から「生涯未婚率」という言葉が消える。「年齢で区切るのはおかしい」
という当事者の声が、用語の変更につながった。結婚相談所でも五十歳以上の会員の
割合が増えており、年齢にとらわれない結婚のスタイルが一般的になりつつある。
 「五十歳を過ぎると結婚する権利もないの?」。東京都内に住む独身の女性会社員
(48)は「生涯未婚率」という言葉を聞くたびにもやもやした気持ちになる。
 三十代までウェブ制作会社で昼夜問わず仕事をしていた。体力の限界を感じて
七年前に転職。時間に余裕が生まれ、婚活を始めた。「支え合えるパートナーが
いれば、子どもがいない人生でも幸せを感じられると思う」
 妊娠・出産の可能性が低くなる年齢を踏まえて、政府は五十歳時の未婚率を
「生涯未婚率」と表現していた。女性も親戚から「子どもは期待できないし、
もらってくれる人がいないわね」と言われて傷ついた。「生涯未婚率という言葉
がなくなることが、古い価値観が変わるきっかけになってほしい」と願う。
https://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2019052302000274.html