ヘイトスピーチ対策法の施行から来月三日で三年になるのを前に、外国人差別の現状と対策を考える集会が二十九日、東京都内で開かれた。
弁護士や社会学者らが、同法や四月に施行された改正入管難民法の問題点を指摘。政府に対し、外国人の人権擁護や人種差別解消に向けた支援制度や法整備を提言した。

 師岡康子弁護士は「対策法施行から三年たっても、ヘイトスピーチとは何かというガイドラインもつくられていない」と国の姿勢を批判。
「選挙活動に名を借りたヘイトスピーチを止められない」と法の限界にも言及し、禁止規定や罰則を含めた人種差別撤廃基本法の制定を求めた。

 指宿昭一弁護士は改正入管法について「特定技能1号で在留する外国人は、通算五年以上滞在が許されない『使い捨て』状態。
家族帯同が認められないのも人権侵害だ」と指摘。1号への人材供給源といわれる技能実習制度の廃止も訴えた。

 国士舘大の鈴木江理子教授(移民政策)は、入管法改正に合わせて政府が示した外国人支援などの総合的対応策について「自治体の費用負担が大きすぎる上、
参政権の問題や義務教育からの排除といった制度的不平等、就職差別や入居差別のような実質的不平等は解消できない」と指摘した。

 集会は人種差別撤廃に取り組む市民団体などが主催し、百五十人が参加した。 (小形佳奈)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201905/CK2019053002000144.html

ヘイトスピーチ対策法とは

正式名称→本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律