【大連=渡辺伸】中国の文化観光省は4日、米国へ旅行する中国人の観光客に対して、米国では銃撃や強盗、窃盗事件が頻発しているとして、
防犯意識を高めるように呼びかけた。中国政府は3日、米国留学を希望する中国人に学生ビザが取りづらくなっている問題への注意を促したばかり。
米中対立を踏まえた措置の可能性がある。

文化観光省は「米国旅行のリスクを十分に認識し、訪問地の治安や法規制などの情報を理解し、身の安全を確保してほしい」と注意喚起した。

中国の外務省も4日、「米国当局は入国を審査する際、鍵をかけた部屋で尋問するなど中国人を追い詰めている」と言及し
「緊急の状況が起きれば米国にある中国領事館に連絡を」と呼びかけた。米国にある中国系列の企業に対しても防犯意識の向上を訴えかけた。

外務省の耿爽副報道局長は4日の記者会見で「中国と米国の正常な交流は相互に相手を尊重する基礎の上に成り立つものだ」として、
米国への批判をにじませた。米国当局によると、米国への中国人観光客は2018年に約290万人と前年比で5.7%減った。
03年以来、初めての前年割れとなり、米中貿易摩擦の影響が出ている。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45676960U9A600C1910M00/