衆院を通過したドローン規制法改正案は、米軍と自衛隊の特別扱いが目立つ。
現行法では国や地方自治体なら首相官邸や原発の上空も同意なく飛ばせるのに対して、改正案で対象に加わる基地の上空だけは禁止。
さらに自衛官に基地外での排除措置を認めており、軍事の「聖域化」が進む恐れがある。(編集委員・阿部岳)

改正案を審議した12日の衆院内閣委員会で、塩川鉄也氏(共産)が追及した。
「沖縄で台風の被害が大きい時など、現行では(米軍の)了解がなくても飛べたのにわざわざ外し、自治体の被害調査も排除する仕組みになっている」。
防衛省は「緊急時の同意に迅速に対応できるよう関係機関と連携する」などと答えた。

■疑問残る手続き

改正案は米軍と自衛隊の基地上空での飛行について、司令官の同意を得ることを義務付けている。
災害時の自治体も例外ではなく、事前に文書で同意を得て、さらに警察などに通報しなければならない。どこまで手続きを迅速化できるのか、疑問が残る。

現行法では、自治体なら首相官邸、防衛省本省の上でさえ同意なく飛ばせるのに、なぜ基地だけ対応が違うのか。
内閣官房の担当部署は「基地上空は航空機やドローンが飛び、接触の可能性がある」と説明するが、防衛省は滑走路やヘリパッドがない施設も広く指定する考え。
「過保護」になる可能性をはらむ。

さらに、米軍や自衛隊自身が基地上空で飛ばすドローンには、「突発的な訓練があり得る」として、警察などへの通報を不要にする仕組みを用意していて、厚遇ぶりが際立つ。

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/409842
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