「毎月勤労統計」の不適切調査問題で、厚生労働省が昨年六月に神奈川、愛知、大阪の三府県に
抽出調査への切り替えを打診した際、担当部署の責任者である課長級の職員「政策統括官付参事官」名で
文書を出していたことが十五日、分かった。不適切調査が組織的に行われた可能性もあり、厚労省は
関与した職員の特定を急ぐ。 

 安倍晋三首相は政府与党連絡会議で「誠に遺憾だ。重く受け止める。国民に不利益が生じることがないように
必要な対策を講じていく」と述べた。

 根本匠厚労相は十五日の記者会見で、課長級名で文書を出したことを認めた上で「三府県に発出し、
厚労省限りのものではないので、隠蔽(いんぺい)には当たらない」と述べた。

 勤労統計は、従業員五百人以上の事業所は本来全て調べなければならないが、東京都内の事業所は
二〇〇四年以降、一部抽出で行われていた。一八年一月からは結果を全数調査に近づけるため、
データを改変するソフトを導入。さらに同年六月には厚労省が三府県にも抽出調査を持ちかけていた。

 厚労省によると、担当部署の常勤職員は参事官以下計十七人。少なくとも参事官までは不適切な手法だと
知りながら、三府県に拡大しようとしていた可能性が浮上。さらに上司らが決定に関与していなかったか
どうかが今後の焦点となる。既に弁護士らによる省内の監察チームが職員に聞き取りを始めており、
十七日には会合を開き、調査方針を確認する。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201901/CK2019011502000250.html