レーダー照射動画、どう見る? 元海自パイロットが解説
2018年12月28日19時03分
小原凡司・笹川平和財団上席研究員(元海自哨戒ヘリパイロット)の話

哨戒機が公海上で他国の軍艦を見つければ確認に行くのは普通の行動で、
映像を見ると海上自衛隊の哨戒機P1は距離を取り韓国軍艦に近づき撮影している。

まず韓国軍艦2隻の左側、次に右側を通り、上昇して全体を確認しようとしたところで、
1回目の火器管制(FC)レーダーの照射を探知しており、クルー(乗組員)が「FCコンタクト」と言っている。

P1が危険を避けるため機長の「離隔する」との指示で現場を離れる時に、
クルーが「めちゃくちゃすごい音だ」「この音覚えておいて下さい」と言っている。
FCレーダー照射自体はP1の機能で探知できるが、距離が近いと捜索レーダーとは明らかに異なる音も聞こえるので、
他のクルーにその確認を求めたのだろう。

その後でクルーが「砲はこちらを向いていない」と言っている。
韓国軍艦がFCレーダーを照射した上でP1を狙って砲を向けることまではなかったようだが、
クルーが「コンティニューホールド」と言っており、照射はしばらく続いたとみられる。

ログイン前の続き 1回目の照射から約3分後、P1は韓国軍艦から遠ざかったところで2回目のFCレーダー照射を探知している。
そこで機長の指示でクルーが韓国軍艦に向けて無線で海自と名乗り、
照射の目的を「What is the purpose of your act?」と尋ねている。

クルーの韓国軍艦への呼びかけは、最初は軍艦としてモニターしていないといけないVHF緊急周波数で、
さらに国際VHF、UHF緊急周波数と3通りで行っているが、韓国軍艦から返答はなかったようだ。

P1は韓国軍艦への接近から、FCレーダー照射を受けての回避、海自の司令部とやり取りした上での韓国軍艦への無線での確認と、
正規の手順を踏んで落ち着いて対応している。
それでも異例の事態なので、クルーの声を聞いているとテンションは上がっていたように感じた。

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