フランスで暴徒化するデモ隊の姿は「情報戦争での敗北」だとの指摘

フランスで燃料税の引き上げに抗議するデモ隊が暴徒化して警官と衝突し、
パリ中心部が一時、危険な状態に陥りました。燃料税引き上げがひとまず延期されたことで
鎮静化に向かうとみられるデモ活動ですが、デモ隊による過激な行動はSNSを駆使した
「情報戦争」によって引き起こされたものだとの指摘があります。

燃料税引き上げをめぐるフランスのデモ活動は「Gilets Jaunes」という黄色のジャケットを着て
政策への反対の意思を示すという平穏な活動として発生しました。しかし、平和的なデモは、
次第に過激化していき、ついには暴力を伴う危険なものへと変化しました。
この変化を引き起こした要因として、SNSを中心にデモ活動をより過激なものへと扇動する
「情報戦争」があったとセキュリティ研究者のx0rz氏は考えています。

このような過激な行動を助長するようなSNSアカウントは数多く存在するとのこと。その中には、
偽のメディアを装うものもあります。

例えば「@1Happeningnow」というTwitterアカウント。一見、ニュースメディアにも見えますが、
持ち主は匿名。これも1カ月前にできたばかりの新しいアカウントで、「#Paris」「#Russia」「#YellowVests」
「#Ukraine」「#Macron」のハッシュタグを好んで使います。

これら2つのTwitterアカウントのアクティビティをチェックすると、早朝と夜にツイートが行われる
傾向がうかがえます。

x0rz氏は、意図的にフェイクニュースを拡散する活動にのせられてしまう人が多い状況に対して、
「自分自身の意見を持ったうえで、インターネットで目にするすべてのものに対してファクトチェックを
する姿勢を持つべき」と述べています。x0rz氏は「クリック数が真実よりも貴重な世界では、
フランスのメディアの中でさえ奇妙なストーリーが現れてしまうことがある」とも述べ現状を嘆きつつ、
「戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり」という孫子の兵法を説いています。

https://gigazine.net/news/20181207-france-lost-information-war/