‪[寄稿]日韓和解のために(ハンギョレ新聞) - Yahoo!ニュース
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戦時中に日本の向上などで働かされた韓国人元徴用工が新日鉄住金に対して損害賠償を求めた裁判で、
韓国の最高裁判所が訴えを認める判決を出したことは、日本国内に大きな反発を生んでいる。
日本政府は、日韓基本条約等によって個人請求権の問題は完全に処理されていると主張し、
日本の主要なメディアもこれに同調している。

中略

私は、戦時中の強制労働に対する補償については、政治的決着しかないと考えている。
同種の問題は、日本の多くの企業が抱えている。今回の判決を機に、他の被害者も訴えを起こせば、どれだけの件数に登るかわからない。
その時の日韓両国の間の感情的な対立のエスカレートを想像すれば、法的解決の限界を指摘せざるを得ない。

1965年の日韓基本条約には、冷戦構造の中で日本と韓国が反共陣営の態勢強化のために手打ちをしたという側面がある。
当時の韓国では市民的自由や政治参加は限定されており、元徴用工の要求が韓国側の政策に十分反映されなかった憾みもある。
それから半世紀以上の時間がたち、韓国社会における人権意識は高まり、被害者が自らの権利を擁護するために発言できる環境が生まれた。
日本政府が基本条約を根拠に個人の権利主張を無視することは、政治的には冷酷な話である。
まして、今の安倍政権や与党には、戦前の日本の植民地支配や侵略戦争を正当化したがる輩が多数存在する。
元被害者が日本の謝罪は口先だけだと反発し、生きている間に補償を要求するのも理解できる。

中略

法的紛争を泥沼化させるのか、過去の人権侵害に対して誠実に謝罪し、政治的、道義的な解決に踏み切るのか、
日本政府は大局的な見地から決断しなければならない。朝鮮半島では、南北対話、米朝対話を機に、第2次世界大戦、朝鮮戦争、冷戦の3つの紛争を終結させ、
平和をつくり出す歴史的な挑戦がこれから進もうとしている。日本が第2次世界大戦を終わらせ、
植民地支配の清算を行うためには、石頭の法律論ではなく、政治的な構想と勇気が必要である。

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山口二郎・法政大学法学科教授
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