反原発を掲げる九州7県の共産党は22日、九電に、再エネの出力制御を自重するよう申し入れた。

 申し入れでは「欧州では、再エネ優先給電の立場から、原発を含めた他の電源を出力変動させることで対応している」と記した。

 だが、「原発の出力変動」にかつて大反対したのは、反原発派だった。

 昭和62〜63年、四国電力の伊方発電所2号機(愛媛県)で、出力を100%から50%に低下させ、さらに戻す試験が実施された。

 これに反対運動が起きた。低出力下で発生したチェルノブイリ原発事故(昭和61年4月)を、想起させたからだった。

 伊方とチェルノブイリは原子炉の方式がまったく異なり、試験内容も態勢も違う。
それでも四電本社周辺で座り込みが続くなど、抗議活動は激化した。

 原子力委員会(当時)は63年版の原子力白書で、
「反対する人々は科学的根拠の乏しい主張を行い、結果として原子力発電に関する国民の理解を混乱させることとなった」とした。

 平成23年7月のしんぶん赤旗は、当時を振り返る記事の中で、共産党元県議の話として
「通常の運転でも危険な原発をさらに危険にするものとして出力調整に反対してきました」と掲載した。

 原発の出力調整の実験が進んでいれば、再エネ制御はもっと抑えられたかもしれない。
ご都合主義ではなく、科学的根拠に基づいた議論をしなければ、エネルギーをめぐる混乱は続く。

九州電力、再エネ計4日の出力制御 停電回避へ「最後の手段」
https://www.sankei.com/region/news/181023/rgn1810230013-n1.html